トランジション(矩形断面から円形断面)での損失水頭
圧力水路の設計をしていると、取水口周辺で矩形断面から円形断面に変化する部分が必要となるが、その時の形状変化による損失(摩擦損失を除く)の計算について書いておく。 これまでは、矩形断面の断面積に等しい等価円を考え、漸縮管の損失水頭として扱ってきた。
今回同じ損失水頭計算が必要となり、しらべたら「矩形管の等価円」という考え方があったので、それについても記載しておく。
等価円の計算法は以下のページによる、
http://www.mekatoro.net/digianaecatalog/ebara-fan50/book/ebara-fan50-P0380.pdf
上記ページによれば等価円の算定式は以下の通り。
上記式および慣用的に用いてきた矩形断面と同一断面積を有する円の直径を計算してみる。
Upstream edge | Length | Downstream edge |
---|---|---|
Rectangular shape (a x b = 8.4m x 8.4m) |
L=5.5m | Circular shape (diameter D=8.4m) |
換算式を用いた等価半径
矩形断面と同一断面積を有する円管の直径
上記より、矩形断面と同一断面積を有する円管の直径は以下の通りとなる。
損失水頭計算
この事例では、矩形断面から換算された円形断面の直径は、2つの手法でほぼ同じとなった。 よってここでは、これまで慣用的に用いてきた、矩形断面と同一断面積を有する円の直径を用いて、漸縮管としての損失水頭計算を行う。
漸縮管の損失水頭は、以下に示すGardelの図(出典:発電水力演習、千秋信一著)による。
計算条件を整理すると以下のとおり。ここで設計流量はQ=290m3/sとする。
Q (m3/s) | D1 (m) | A1 (m2) | v1 (m/s) | D2 (m) | A2 (m2) | v2 (m/s) | A2/A1 | L (m) | 290 | 9.481 | 70.560 | 4.110 | 8.400 | 55.390 | 5.236 | 0.785 | 5.5 |
---|
角度 は、次式で計算する。
断面積比 、角度 より、損失係数は、上記図より となる。 よって、損失水頭は以下の通り計算できる。
以 上